本との話 7:読書会の「饗宴」

こんにちは、所英明です。

ホントの話、ぼくは柏市内のふたつの読書会に関わっているのですが、前回は古本屋さんという文化の行く末について、悲観的なことを書いてしまい哀しい気持ちになったので、今回は気分を変えて読書会の話をしましょう。

■何故読書会なのか

さて。人は何故、今どき読書会などというものに集い、あまつさえ主催者になろうなどと思うのか?

ぼくの場合は端的に言って、「ローガン」です。つまり、マーヴェルの映画でも描かれたように、あのウルヴァリンも寄る年波に勝てず、かつての超人的治癒力にもついに限界が…。

んん? …違った。老眼でした。

つまり、本を読むのが段々と億劫になってきた。忙しくなってしまったこともあるのですが、本を読み始めても集中力が続かず、すぐ疲れる。随分前から読書量ががっくりと減った。もう歳ですね。きっとローガンのせいだ…。

(気を取り直して)では、どうするか。思いついたのが、読書会です。
【仮説】読書会に参加すれば(主催すれば)きっと否が応でも本を読むはずだ。(←ホントか?)

そこで、この仮説を検証するために、ネットで巷に読書会がどのくらいあるのか調べ(結構ありました)、そのいくつかに足を運んでみました。

これがもう、3〜4年前。
結構いろんなタイプの読書会があるんだなぁ。と、思いました。ぜひ、調べてみて下さい。そして、自分でも立上げてみることにしました。多少の試行錯誤はあったのですが、今では松葉町のご縁カフェ・まつばRと、柏市柏三丁目のハックルベリーブックスの二階で、それぞれまつばR読書会とカシワ読書会を開催させて頂いています。

また、NHKのEテレに「100分de名著」という、一冊の本を25分×4回で丁寧に読み解いてくれる得難い番組があります。

■読書会のやり方(「持ち寄り本語り」形式の場合)

柏で読書会を立上げる際に参考にしたのは、浅草で既に150回以上続いているアサクサ読書会でした。ぼくはちょうど100回目に初めてお邪魔したのですが、シンプルで暖かみのある運営スタイルに惹かれて通ううちに、このやり方で柏でも読書会をしたい、と思うようになり、主催者の川口民夫さんに了解を得て暖簾分け(?)してもらい、カシワ読書会を立上げました。まつばRの読書会も基本同じやり方で開催しています。

ぼくが個人的に「持ち寄り本語り」と呼んでいるその読書会のやり方を、ちょっと紹介しましょうか。

①グループ分け

集まった参加者は、おおよそ8名前後のグループに分けます。少なくても構いませんが、これ以上の人数が集まったらグループを分けた方がいいでしょう。

グループごとにひとり進行係を決め、最初に簡単にルール説明をします。相手の意見を否定しないことetc.の良くあるやつですね。

次に、1分程度で短く自己紹介をします。名前(もしくは呼んで欲しいニックネーム等)とどこから来たのか。そして「新春に思うこと」なんて類いの進行係が提示した本日のテーマ、など。初めての参加者も声を出すと落ち着くものです。

②本の紹介と質疑応答

さて、いよいよ読書会開始ですが、「持ち寄り本語り」形式では、参加者がそれぞれ持ち寄った本を、決められた持ち時間内で紹介し、その後質問を受けます。持ち時間は全体の時間と参加者数にもよりますが、ひとり当りおおよそ12〜15分くらいにします。

また、本の紹介だけで時間をすべて使わずに、5分前後質問時間を残すのがオススメです。例えば13分の持ち時間なら、8分で紹介を終え、5分は参加者から質問を受けます。

時に予想外の質問があったりするのもいいですし、答えが見つからずに焦ってオタオタするのもいいものです。

紹介は順番を決めず挙手で行います。基本、何番目にやろうと自由ですが、本の紹介をしないで帰ることはできません。

さて。正直に言いますと、ぼくは主催しているくらいなので、何度も本の紹介をしているのですが、未だに紹介が上手くなったとは思えません。もちろん、紹介する本がいつも違うから、ということはあるんだろうとは思いますが、限られた時間の中で一冊の本を適切に紹介するのは、いつもチャレンジングなのことなのだと感じています。

③記念撮影

全員が終わったら、最後に持ち寄った本を写真に収めて終了です。あっという間に、2〜3時間が過ぎていてびっくりしたりします。

■読書会の魅力とは?

では、読書会の何が楽しいのか。

さて、ぼくは何が楽しくて続けているのでしょう? また、おいで下さる参加者のみなさんはどうでしょう?

理由はこの場合も人それぞれ、なのかも知れません。また、続けているうちに変化していくのかも知れません。ただ、ぼくはここで不意に、あの林達夫さんの「『タイスの饗宴』─哲学的対話文学について─」のことを思い出します。

プラトンと言えば対話篇が有名で、「ソクラテスの弁明」「ゴルギアス」、「パイドン」、そして「饗宴」などがあることは知られています。林さんによれば、対話篇におけるプラトンは、まず何よりも戯曲作家である、といいます。その戯曲としての対話篇は、登場する当時の著名人物たちの著書の語彙、文体、リズムほかの巧みな模写による、パロディの文学・思想劇であるところに本質があるのだ、と言います。


プラトン自身は、ソクラテスを初めとする著名人の言辞の背後に隠れ、何の権利も主張しない。そこにあるのは、ある種の折衷主義である。しかし、プラトンの折衷主義は「まことに相補足する種々の思想形態の、熟慮の後の選択」であり、彼はそうすることで、「時代を動かしているあらゆる思想を篩いにかけて、その中から思想家、政治家がよって以て立つべき正しい精神、正しい生活態度を全体として描き出そうとした」のだといいます。

これって、ある意味では(理想の)読書会のことじゃないか…。

紹介される様々な著書の語彙、文体、リズムほかの巧みな模写が響きあう空間。ぼくに言わせれば、それこそが読書会の醍醐味ではないか、と思うのですが…。

さあ、貴方も読書会へ、ようこそ。

付記)【検証】これで、読書量が増えていればめでたしめでたし、なんですが、大きな声では言えませんが、…やっぱり言わないでおきます。

 

アサクサ読書会
 https://www.facebook.com/asksdksk/

カシワ読書会
 https://www.facebook.com/kashiwadokusyokai/

ご縁カフェ・まつばR
 https://cafematsuba-r.jimdofree.com

100分de名著
 https://www.nhk.or.jp/meicho/

この記事を書いた人:所英明(ところ ひであき)

元私立大学事務職員。現在は柏市地域支援課の地域づくりコーディネーター及び柏アーバンデザインセンターUDC2のディレクター。「柏おやじ図鑑」(2013~1016)、かしわ子育て応援情報誌「Touch」(2018)の編集も。
いわゆる市民活動として、軒先ブックマーケット「本まっち柏」代表、カシワ読書会主催、柏図書館メイカーズ、柏まちなか図書館、柏まちなかカレッジのスタッフも。
本が好き。猫が好き。楽器が弾け、料理がうまい人に、尊敬の眼差し。精神年齢は三〇代で停止。オトナになることには諦めの境地で。

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