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柏の湧水探検(4)地域の人が守るビオトープに湧き出す【名戸ケ谷湧水】

川瀬
かわせ
美幸
みゆき

株式会社トキワ

NPO 法人 かしわ環境ステーション
NPO 法人 こんぶくろ池自然の森
千葉県自然観察指導員協議会

プロフィール詳細

柏市では土地利用の変化や地下水の過剰な利用などで、湧き出し量が減ったり枯れてしまった場所や、谷津の田んぼの埋め立てなどで失われてしまった名も無い湧水がたくさんあります。。地下を通って湧き出す湧水は、年間通じて水温変化が少なく、15 度前後で夏は冷たく、冬は暖かく感じます。この環境でしか生息できない生きものが、長い年月にわたり、命を繋いで生きています。人との湧水のかかわりも深く、伝説の巨人「でいだらぼっち」の足跡は湧水地として現在も伝わっています。イボが取れる、体調が改善する、などの効用が伝わる湧水もありました。もし、自分の住んでいる近くに湧水があるなら、それがどこからきて、どこに流れていくのか想像してみるのも楽しいですよ。そこにどんな生きものが生息しているのか、ぜひ探してみてください。

今回は、なかでもアクセスしやすい 4 つの湧水から【名戸ケ谷湧水】ご案内します。

〈ナビゲーター〉川瀬 美幸さん (文章中『M』)
〈同行人〉いなば(文章中『稲』)

からスタート
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柏駅から探検!

Start
1
9:00

歩いて30分、バスで15分。さぁどっちで行こうかな?

バス柏駅東口より東武バス(5番乗り場)

「名戸ヶ谷行き」「新柏行き」で「名戸ヶ谷」下車すぐ

※駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用ください。

2
9:30

かつてこの地域に存在した風景を現代に残す、名戸ケ谷ビオトープ

「カエルの楽園の湧水」Ⅲタイプの湧水、沖積面との境目で湧出。


涵養域が広く湧水量も安定している。
毎年たくさんのニホンアカガエルの卵の産卵が見られる。

住所 千葉県柏市名戸ヶ谷 927-2

柏市環境整備課 HP によると、名戸ヶ谷ビオトープは、名戸ヶ谷周辺地域に残された谷津の一部と湧水を活用して整備することで、都市化が進んだ柏市において、かつてこの地域に存在した風景を現代に残す自然あふれる湿地環境となっています。このような環境の保全は、湿地を好む生きものが生息する場を残していくことだけではなく、その生きものを捕食するために別の生きものが来訪するといった生態系の循環を生み出すことも目的としているそうです。

このビオトープは、地権者や近隣住民、市から管理運営を委託している市民団体「名戸ヶ谷ビオトープを育てる会」など、多くの市民の方々から多大なるご協力をいただくことで維持されています。

また以下のページにも情報が掲載されています。

柏市環境部環境政策課「名戸ケ谷ビオトープについて」

「湧水って?」
緑に輝く稲穂の中を、木道が延びています。印象的な風景です。
M︓地元の小学生が授業に来たり、園児がお散歩に来ているんですよ。「名戸ヶ谷ビオトープを育てる会」や近隣の住民の方々が、大切に保全しています。
ビオトープ入口にワサッっとした緑色の塊が。
M: これは数珠玉というイネ科の植物です。
M: 数珠玉は秋頃に実がなります。あ︕あった。(ひとつぶ見せてくださいました)子どものころは、よく、この実に糸を通してつなげて、ネックレスやブレスレットにして遊んでいました。稲︓ほー。
M: 木道を歩きながら水田へ目をやると、ビオトープの生きものを見ることができますよ。水田をじっと見つめる miyuki さん。
M: お︕シオカラトンボだっ︕
稲︓お~︕トンボも久しぶりに見ました︕
さらに、奥の方へ。湧水口を目指します。
M︓この湧水は台地の上の住宅街に浸透した雨水が長い歳月をかけて低い場所から出ています。現在も湧き続けているので田んぼができるのですね。

稲︓冷たいっつ︕遠足で川の水をすくった時のような水温です。この暑い中。。。癒しだぁ~。
M︓湧水は年間通して水温の変化があまり無いんです。…15℃ぐらいかな︖
ビオトープをぐるりと囲むように、水路がめぐっています。
M: 水路に近づきすぎると、滑って落っこちてしまうので、気を付けてね (*ʼ▽ʼ )
兎︓はいっ︕
カエルは…今日は見えないかな︖
ハンノキ。蝉が。(写真の左の方)

M: こっちの水路にも生きものがいると思うんだぁ~。
と、網とバケツを手に軽やかな足取りで向かうmiyuki さん。
稲︓お、お待ちくだされ~︕
稲︓なさけない︕足元がおぼつかない︕
デコボコの土の道の、歩き方がわからなくなっています。
手作りの水門。
M: 水門のところにザリガニがっ︕兎︓えっ︕どこ︖どこ︖全然わかりません︕と言いながら撮った写真ですが、みなさんはザリガニがどこにいるかわかりますか︖
M: さあ︕いきものを見つけてみよう︕
じっ~と水面を見つめています。
おっつ、何かとれたようですね。
じゃじゃ~ん︕
稲︓早い︕すごっ︕それにしても水キレイですね︕
スジエビはビオトープの水路にたくさんいて藻類や小さな生きものや死んだ魚なども食べます。スジエビ自体もも亀や魚や鳥など様々な生きものに捕食されます。食物連鎖を支える生きものですね。
一瞬メダカに見えてしまいますが、よく見るとカダヤシというメダカによく似た魚。これは雌のカダヤシです。メダカは卵を水草などに産みつけますが、カダヤシは直接魚を産みます(卵胎生といいます)「特定外来生物」に指定されてカダヤシを獲ったり移動させたりすると重い罰則や罰金があります。カダヤシを知らない人に教えてあげましょう。

上から見た名戸ケ谷ビオトープ

稲︓水田には一年を通して、昆虫や魚類、両生類や爬虫類、そしてそれを食べにくる鳥類もみられるそうです。湧水のまわりは、たくさんのいきものが生息していて、それは人間のものだけでなく植物やいきものにとっても、かけがえのない大切な資源なのだと思いました。M︓その他にも、ご紹介したい場所はたくさんありますが、民有地で許可なく入れなかったり、湧水場所までのアクセスが困難だったり…。今回訪ねた 4 箇所は、柏市の公園や管理団体が保全している場所で、アクセスも容易で湧水を間近に見ることができる場所です。

柏にも湧水があるの︖一体どんなところにあるのだろう︖と、行く前からワクワクしていました︕
湧水が湧きでている場所って、山深い秘境のような場所というイメージでした。
探検させていただいた場所は、住宅街のそばにありながら自然環境が保全され、そして多様な生きものが生息していることを知りました。
上下水道設備ができるまでは、生活のそばに湧水や井戸があるのは当たり前でその頃は、湧水を守る自然と人との距離がとても近かったのだと感じました。
※今回、久しぶりに歩いた畦道で、足元がおぼつかない自分に驚きました。(稲)

今回まわる湧水の他に、柏市には湧水が10ヶ所あります。
※ご注意:残念ながら飲料には向きません。また、湧水地はほとんどが私有地もしくは神社やお寺の所有となっています。良識ある見学をお願いします。
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Goal !

この記事を書いた人

株式会社トキワ

NPO 法人 かしわ環境ステーション
NPO 法人 こんぶくろ池自然の森
千葉県自然観察指導員協議会

川瀬
かわせ
美幸
みゆき
プロフィール

柏市 ( 松ヶ崎城址付近 ) 生まれ 母方は大津川流域 父方は大堀川流域の出身生まれてから現在まで手賀沼とのかかわりが深く、人生初めての釣りは大堀川下流で大きなコイをゲット。昭和 54 年、手賀沼が COD 年平均 28mg/L の頃に小学校の頃水質保全ポスターで入賞。田んぼのカエルやヘビと遊びながら成長し、水つながりで柏市内に水道工事店を経営。

地元の手賀沼や利根川を拠点に水循環をテーマに活動、現在に至る。

参考サイト

同行人

いなば
kamonかしわインフォメーションセンタースタッフ
二重顎と三段腹を所有。最近五十肩も取得。バブル世代のちょっと下の世代。
10 歳の娘とアウトドアに挑戦してみたいと思っているが、一緒に「あつ森」にはまり中。