柏歴史発見!番外編【鳥観図に見る柏の発展】

こんにちは!柏の歴史アンバサダー髙野です。
同行させていただく、ハラデテル・イナバです!今日もはりきってまいりま~す☆
今日は「番外編」です。昭和初期の鳥観図をたよりに、現在の柏駅周辺をごあんないします。昔広がっていた風景を想像しながら歩くと、面白いですよ。
わー!楽しそうですね!当時のことを想像しながら歩いてみます!妄想ツアー大好きです(*'▽')
【昭和四年四月 千葉県柏町鳥瞰】
(1)常磐線柏駅(JR柏駅)
 今日の柏の発展は、明治29年の鉄道開通による柏駅の開設が大きな契機となりました。当時はJR常磐線ではなく、日本鉄道株式会社土浦線と呼ばれ、明治22年、常盤炭鉱から産出される良質な石炭を、東京に輸送するのがこの鉄道敷設の目的でした。この時、千葉県内には松戸・柏・我孫子に駅がつくられましたが、水運で栄え、水戸街道の宿場としても賑わっていた松戸・我孫子に比べ、この頃の柏(明治22年から千代田村)は、水戸街道に沿って家々が立ち並ぶ程度の集落で、駅開設が見込める場所ではありませんでした。それにもかかわらず駅の設置が決まったのは、いち早く用地10町歩を提供した小柳七郎(布施)や、地主との交渉に尽力した寺島雄太郎千代田村長らの活躍があったからです。昌平坂学問所の儒官芳野金陵(松ヶ崎出身)から書生として教えを受けた小柳七郎。いまでも柏駅南口からファミリかしわを通り、パレット柏の脇を通る道には、「小柳町通り]という名称が付けられ、七郎の志が受け継がれています。
昭和20年代後半 柏駅東口(柏市教育委員会文化課資料)
現在の柏駅東口
当時、柏駅から通勤していた方によると、道路も舗装されていなくて、雨が降ったら大変だったということでした。駅前に皆さんの長靴が並んでいたそうです。紛失したりしなかったそうです。
のどかですね~。駅前に長ぐつが並んでいるところ、見たかったです☆
(2)柏二番街
 ここは大雨が降ると、すぐに水があふれ出すところでした。水が引くと後にドジョウが残されていたそうです。
(3) 如春堂医院(二番街・マツモトキヨシ付近)
 松ヶ崎村の医師、芳野南山の子供のうち、香山は卷石堂を継ぎ、金陵は昌平坂学問所の儒官となり、その弟道紀が開いたのが如春堂医院です。
(4)荷扱所石戸(二番街・石戸ビル、京北スーパー付近)
石戸さんは石戸さんは大井(旧 沼南町)の出身で、柏から沼南までバスの運行を千葉県に申請したこともありました。自動車屋をしていた関係から運送業を営んでいたそうです。
京北スーパー付近です。 昭和30年代初め「柏二番街」のむかし(柏市教育委員会文化課資料)
柏二番街
柏二番街の「セブンイレブン」は関東で一番の集客数になったこともあるそうです!
(5)  藤川酒舗
 かつて造り酒屋を営んでおり、ここの地名「豊四季村」に由来して、醸造した日本酒を「四季豊」と名付けていました。
(6)  金子畳屋
現在も金子畳店として営業されています。
金子畳店から濱島石材店、柏湯の辺りは、江戸時代に野間土手があった場所です。
(7)  柏湯
(8)  浜島石材店
濱島石材店も営業されています。
(9)  小柳金物店
小柳金物店があった付近は、牛丼屋さんになっています。
(10)  旅館小松屋
 柏駅を降りた人々が目指したのは、駅前の小松屋旅館です。洋食を取りながらお茶を飲み、店の前にあった栄自動車の停留所から、柏競馬場や布施弁天・曙山に向かう車を待ちました。
昭和4~5 栄自動車停留所(柏市教育委員会文化課資料)
(11) 萩原時計店
荻原時計店(柏市教育委員会文化課資料)
現在、スカイプラザがある場所に「旅館小松屋」があり、柏駅を降りてすぐ目立つ、ランドマークになっていたのは、今と同じかもしれませんね。
萩原時計店さんは、今はスカイプラザの1Fにあります。老舗の時計屋さんです。

(12) サカエ自動車
 昭和2年頃、花野井の吉田甚左衛門は「柏を関東の宝塚にする」として、大規模な地域おこしを計画し、実施します。範囲は手賀沼から利根運河までを想定し、東京から観光客の誘致を目指しました。中核となったのが豊四季地区に建設した柏競馬場で、ゴルフ場も併設していて皇族や政治家・官僚なども訪れました。観客たちを運ぶために営業を開始したのが栄自動車で、T型フォード車などが並んでいます
昭和はじめ 栄自動車の運転手たち(柏市教育委員会文化課資料)
栄自動車があった付近
「柏を関東の宝塚」とは!凄いですね!!!昔、手賀沼に「ディズニーランド」を誘致しようというお話があったみたいですし、実現していたらどんな風になっていたのでしょうか?
(13)斉藤商店
 
駅前通りの斉藤商店は、オモチャやお菓子を販売していましたが、自転車の一時預かり所でもありました。
昭和28年 自転車小荷物一時預り所(柏市教育委員会文化課資料)
斎藤商店があった付近
(14)風澤洋品店
 風沢洋品店での歳末大売り出し。シャツ・ズボン・ショールや農作業用の田モモヒキなどが並び、人々の生活水準が次第に向上してきた様子が伺えます。
風澤洋品店(柏市教育委員会文化課資料)
風澤洋品店があった付近
不動産のフ―サワ商事が洋品店だっとは!驚きです!
(15)富士屋果実店
(16)柏郵便電信局
 柏村の草分けである寺島五兵衛家が明治35年に開局した郵便局。当時は個人の請負制でした。
昭和10年ころ 柏郵便局職員(柏市教育委員会文化課資料)
郵便局のお仕事が個人の請負だったとは、知らなかったです。皆さん制服を着ていらっしゃいますね。この頃の女性は着物に割烹着姿で、漫画のサザエさんに出てくるフネさんみたいです。
(17)柏館
開館当初は芝居・浪曲を上演していました。人々の娯楽を集めた映画館となったのは、後の事です。
昭和4年 柏館オープン(柏市教育委員会文化課資料)
柏館があった付近(イトーヨーカドー)
イトーヨーカドーの駐輪場のあたりまで、「柏館」の建物があったようです。区画整理で現在の道幅と違っていますよ。
(18)中村輪店
 当時、自転車は高価なのもで、庶民のあこがれでした。
(19)水戸屋割烹旅館
(20)八坂神社(柏神社)
柏神社
(21)柏町役場
 大正14年7月、千代田村役場として建設されたものです。その後、柏町役場となり、昭和21年役場が旧憲兵分遣隊に移ると、柏町公民館として市民に利用されました。
(22)岩田屋旅館
 駅前通りと水戸街道が交差する要地にありました。
岩田屋旅館(柏市教育委員会文化課資料)
岩田屋旅館があった付近
(23)東葛飾高校
 このあたりには松林が広がっていて、キノコ狩りの絶好の場所でした。やがて東葛飾中学校(高校)や柏競馬場の開設により大きく変貌を遂げていきます。
昭和9年 東葛飾中学校校舎(柏市教育委員会文化課資料)
(24)柏競馬場
 吉田甚左衛門の地域おこし計画の中核をなす施設であり、新聞は「東洋一」と表現しました。
この鳥観図の「東葛飾高校」「柏競馬場」は当時の場所としても、位置が違って描かれています。便宜上空いているスペースに描かれたのでしょうね。

 

参考資料
柏市史編さん委員会 平成19年 『歴史ガイドかしわ』
柏市史編さん委員会 平成 7年 『柏市史 近世編』
柏市史編さん委員会 平成24年 『柏の歴史 柏市史研究創刊号』
柏市史編さん委員会 平成12年 『柏市史 近代編』
柏市史編さん委員会 昭和59年 『歴史アルバムかしわ』

かしわインフォメーションセンターに、来館されるお客様から、子供の頃に過ごしていた柏駅周辺のお話をしてくださる方がいらっしゃいます。いつも、楽しくお伺いしています☆
今回は「番外編」として鳥観図と写真から柏駅周辺のまちなみの発展と変貌を感じていただけると嬉しです。たった92年前の頃ですが、建物や服装だけでなく、コミュニケーションの方法や、受け取る情報量、一日の時間の流れなど、変わっているところもあるのではないでしょうか?
散策しながら、昭和初期の柏のまちに想いを馳せてみました。
はい!柏にはまだまだ紹介したい場所があります。次回をお楽しみに~!

歴史発見ガイド人

髙野
タカノ
博夫
ヒロオ
プロフィール

柏の古文書や石像をず~っと調べて40年。
柏の歴史って素晴らしいので、ぜひお知らせしたいと思っています。