ちいさな「ゆうび」 ―こんな居場所があります―第5回 100人の子どもに100通りの居場所を

柏マニアNo.
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杉山
スギヤマ
麻理江
マリエ
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これまでゆうびの子ども・若者たちの様子、不登校の考え方などについてお伝えしてきました。

 

現在、ゆうびには入園希望者が後を絶たず、多くの方に待機してもらっている状況です。

せっかく相談・見学にいらしていただいても、「では明日から体験に来てみてください」と言えません。

また、「順番が回ってくるのは何か月後ですか?」とよく聞かれますが、それにもはっきりとしたお答えができません。

体制の問題で一度に受け入れられる人数には限界があり、また、入園した子がゆうびに慣れて安心して通ってこられるようになってから、次の入園者を入れるのでどうしても時間がかかります。

 

最近は行政や病院、児童相談所からの紹介も増えています。切実な状況のご家庭もありますが、そのたびにすぐにお力になれないことが心苦しく、どこかほかに紹介できるところがあればいいのにと何度も思いました。

 

 

                             

 

一口にフリースクールといってもその内容、形態はじつにさまざまです。

ゆうびのようにNPO法人がやっているところもあれば特に法人格を持たず、個人でやっているところもあります。

専用の建物を持っているところもあればアパートの一室や、公民館の会議室などを借りてやっているところもあります。活動内容も時間割のあるところ、自由に過ごすところ、イベントだけやるところなどいろいろです。

 

先日、お子さんの不登校のことで相談にこられたご夫婦がいました。

お子さんの状況などを相談したあと、お母さんがぽつり「フリースクールを作るのって難しいんでしょうか?」と聞かれました。通える範囲にフリースクールがないこと、お子さんの性格上、どこかに通うというより自宅などでそのようなスペースを作る方が向いているかもしれないと話してくださいました。

お父さんも「一部屋空いてるからできるかもしれない。素人でもできるんでしょうか?」と前向きでした。

同じく不登校生の居場所を作ろうとしている仲間が増えたような気がして、とても嬉しかったです。

 

 

このようにお子さんが不登校になり、「近くに無いなら作ってしまおう!」と保護者の方が立ち上げたフリースクールは少なくありません。

場所さえあればいつからでも始めることができますが、法整備がない分、補助金などの助成制度もないため、運営費は月謝に頼らざるをえません。

こういったところに行政からの支援をぜひ出してほしいものです。これだけ不登校生が増えて多様な学びの環境が必要とされている今、既存のフリースクールだけでは受け皿がもう足りません。新しい場の立ち上げに、ぜひ積極的な支援を行政にはお願いしたいです。

今回、「柏マニア」の中で、柏市にあるフリースクールとして魅力を発信してきました。

ですが、不登校生、また、生きづらさを抱えた若者にとってゆうびが必ずしも最適な居場所とは思いません。

ひとりひとり違った人間です。

それぞれの人に合った居場所が、今後柏の中でたくさん生まれ、誰もがその人らしく居られる世の中になっていくことを望みます。

この記事を書いた人

杉山
スギヤマ
麻理江
マリエ
プロフィール

フリースクールゆうび小さな学園スタッフ。

北海道出身。大学卒業後、2005年JYVA(日本青年奉仕協会)ボランティア365事業をきっかけに『フリースクールゆうび小さな学園』に出会う。

さまざまな個性を持つ子ども・若者に囲まれて目からウロコの日々を過ごす。1年で地元北海道に戻るつもりが、ゆうびから離れられず、気付いたら15年以上。

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