ドイツ人留学生マルテの『つながるまち歩き』6:トライバルカカオ

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English Version:Tribal Cacao

世界最高のチョコレート

豆業界の深い秘密を探り続ける、柏市あけぼのにあるチョコレートの天国『Tribal Cacao(トライバルカカオ)』。カカオ含有率の高いBean to Barチョコレートが口の中でゆっくり溶け、カカオの自然な味が脳まで回ってきます。特にダークチョコレートは精神安定効果があると言われていますが、それよりもチョコレートの一番強い効果は、人を気づかないうちに笑顔にさせる魔法だと思います。その魔法を生み出すのは『トライバルカカオ』のオーナー、橋本さんです。職人精神に加えて、柏の若者として強い起業家精神も持つ橋本さんのリーダーシップの下、『トライバルカカオ』の明るい未来を楽しみに期待しています。

『トライバルカカオ』

エクステリアもインテリアもとても暖かくて可愛い。外の優しい色合いとデコレーションを見て、すぐ入りたくなるお店です。自宅のリビングルームのようなアットホーム感いっぱい、チョコレートの甘い香り、ほんのりオレンジゴールドの電球色のイメージを思い出すと早速お店に戻りたいと思います。

工房の奥ではスタッフが新鮮なチョコレートを包み、白いカウンタートップの上にたくさんのサンプルが並び、なんだかサンタさんのワークショップのような、子どもの頃の心温まるような気持ちが浮かび上がります。チョコレートのサンプルはビジュアル的にも綺麗だし、実用的で、お客さんが買う前に試食して自分にぴったり合うチョコレートを選ぶことができる、とても丁寧なサービスです。『トライバルカカオ』の雰囲気はとても親切で、たくさんの常連さんが出来てほしいと思います。

『トライバルカカオ』は2018年10月に開店して1年ちょっとの営業になります。定番メニューは11種類ほどのチョコレートになりますが、旬のチョコレートの限定種類もあり、チョコレートの完売状況により種類が少なくなることもあります。

『トライバルカカオ』のすべてのチョコレートはカカオ豆の状態から作られます。それは大変な作業で、まずカカオ豆を自家焙煎してから、豆の殻を手で剥がし、メランジャー(石臼)を使い、カカオマスを作ります。その段階で足されているモノは砂糖だけです。次のステップではカカオマスを板状の形にし、パッケージをすることです。すべてが店内で行われるので「Bean to Bar」(豆から板まで)のチョコレートと呼ばれます。

自然を味わう

チョコレートといえば、多くの人はたぶんホワイトチョコ、ミルクチョコ、ダークチョコ(最近ならミントチョコもかな?)などを想像すると思いますが、本物のチョコレートはそれより豊かなバラエティに富んだ風味があります。その風味とは豆本来の味で、『トライバルカカオ』ならそのチョコレートの本物の味が楽しめます。

これは例に過ぎませんが、私たちはガーナ、トリニダート・トバゴ、ベリーズ、ドミニカのオリジンのカカオ豆から作られたチョコレートを試食させてもらいました。ガーナはキャラメルの甘さ、トリニダート・トバゴはオレンジやブルーチーズ、ベリーズはなんと自然ないちご味、ドミニカは少し酸味があります。『トライバルカカオ』のチョコレートはカカオと砂糖だけでできていて、丁寧に焙煎や加工されているからこそ、カカオ豆の本来の味が楽しめるのが特徴です。

罪悪感のないチョコレートをエンジョイ

強く加工されて色々なモノが入っている市販のチョコレートと違い、『トライバルカカオ』のチョコレートはポリフェノールが多く配合されていて、とても満足感があります。カカオ含有率が高く砂糖が少ないのでカロリーも低め。ひとかけらだけで香りとフレーバーが広がり、脳内にエンドルフィンが分泌され、気分も明るくなります。『トライバルカカオ』のチョコレートは一石二鳥どころか、一石四鳥ぐらいですかね。美味しい、満足感、低カロリー、良い気分。このチョコレートはスーパーフードと呼んでもおかしくないと思います。

理系マインド

美味しい商品を提供することはもちろん大切ですが、人はモノよりも人に惹かれるものです。『トライバルカカオ』の顔、オーナーの橋本さんをご紹介しましょう。

もともと理系出身の橋本さんは、ずっと前から会社員になるよりも独立して自分の力で道を開きたいと考えていた、と話してくれました。4年ほど前にチョコレートと出会い、2カ月間ヨーロッパの40カ国を巡って世界に飛び出す経験を積み、「どこの国でもチョコレートならある」とひらめきを得たそうです。そしてチョコレートの道に踏み出し、1年間独学で勉強して、さらに1年間、カカオ豆とチョコレートを扱っている専門店で修行し、そして自分のお店『トライバルカカオ』をこの柏で開きました。

橋本さんが集めた世界のチョコレートの一部

カカオ豆の焙煎のスキルを身につけるときも理系の背景を活かし、科学的なアプローチで一般の人よりも早くスキルを向上させたそうです。これからはグラノラや柏産の野菜を扱っている商品にも挑戦したいとのことで、私もぜひ『トライバルカカオ』のグラノラを早く食べてみたいです。

世界のトップを目指せ

橋本さんはまだ20代後半で、とても強い精神を持ち、職人としてより美味しいチョコレートを作ることももちろん目指していますが、そこだけで止まりません。起業家精神も持ち、将来は『トライバルカカオ』を世界に広め、日本の柏から世界へトップクラスのチョコレートを提供する夢の実現を進めています。

『トライバルカカオ』が世界へ飛び出す第一歩として、2020年1月には台湾で開催されるインバウンド展示会に出ることが決まっているようです。そこでたくさんの人の興味を引き、海外にお店も出し、世界への扉を開いてほしいですね。

チョコレートドリーム

取材がそろそろ終わる頃、橋本さんがキッチンの奥で作業を始めました。きっと仕事に戻るのだろうと思っていたら、私たちに濃厚なホットチョコレートを作ってくれました。こんなに濃厚なホットチョコレートは飲んだこともなく、溶けたチョコレートでできている雲の上に浮かんでいるような気持ちになります。テーブルにあるマシュマロを入れるとさらに甘くなり、とてもリラックスしたひとときを過ごせました。

豆兄弟(トライバルカカオ&雨の日の珈琲)

橋本さんは、このお店を開く前から7年ぐらい、お隣の『雨の日の珈琲』にお客さんとして通っていたと教えてくれました。『雨の日の珈琲』のオーナー久保田さんにいろいろな相談をしていると、たまたま近くの店舗が空いていたそうです。トライバルのロゴデザイン、パッケージデザインなども久保田さんの作品です。今でもとても仲が良いお店で、お互いを支え合う精神を強く感じています。コーヒーとカカオ、豆という絆で結ばれた兄弟のようです。

『雨の日の珈琲』のロゴです

世界トップクラスのコーヒーとチョコレートを楽しみたい、経験したい方は、柏市あけぼのの2つの豆のパラダイスを訪ねてみてください。『トライバルカカオ』と『雨の日の珈琲』、2つの現代精神、クラフト文化の最前線で戦っているお店を一緒に応援しましょう。

『雨の日の珈琲』の記事へ、世界最高級の珈琲の物語を楽しみましょう。

掲載情報は2019年11月12日の取材時のものです。

掲載内容が変更になる場合もございます。あらかじめご了承ください。

この記事を書いた人

ドイツ出身

麗澤大学
東京大学

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プロフィール

2012年から在日しているドイツ人留学生のマルテです。マルちゃんで大丈夫です。

麗澤大学を卒業して、今は東京大学の柏の葉キャンパスで研究しています。

柏の優しい人が大好きです。柏の色々な場所やイベントを取材して、さらに柏のこと好きになりました。
記事や写真を通して、柏の綺麗な自然と人々の活動を紹介して、他の人も柏のこと好きになることを願っています。

参考サイト

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