彩り2:コーヒーの焙煎で味って変わるの?

柏マニアNo.
25
松本
マツモト
克敏
カツトシ

SOLITO MAGO COFFEE LABO 柏の葉 珈琲研究所

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こんにちは松本克敏です。

第二回目の寄稿は焙煎大会を通してコーヒーの焙煎で味は変わるのかについて書きます。

 

Fuji Coffee Roasting Competition 2024 準優勝受賞をいただいてから、お客様の“コーヒーの焙煎の段階で味って変わるものなんですか?”

という質問を大変多くいただいてます。

まずは焙煎に興味をもっていただけるのが嬉しい限りです。

 

私にとって初めて出場するコーヒー焙煎大会でしたが、結果は日本大会で準優勝、国際大会で8位という、初めてにしては出来過ぎの結果となりました。

 

この大会を通して特に嬉しかった事柄は、審査員の審査用紙を確認したところ、フルーツ系の風味がある、バランスが良い、スムース、などのコメントが書かれていたことです。このコメント欄は選手によってバラバラでした。

もちろん全く書かれていない選手もいて、“焙煎によって引き出される味わいは変わってしまう”ということを改めて実感できた瞬間でした。

 

焙煎大会は東京竹ノ塚で行われました。私がエントリーをしたのは自分の焙煎士としての立ち位置を知りたかったという思いがあり、焙煎大会自体の開催はまだまだ少なくチャレンジできるチャンスを逃したくなかったからです。

が、その後応募締切の日程が延びたことを知りました。それもそのはず、エントリーフィーが¥50,000と他の大会に比べて高く設定されていたのだから。

逆に言えば、それだけ焙煎に自信がある人が出場するということ。とても気合いが入りました。

大会は「同じ日に、同じ場所で、同じコーヒー生豆を、同じ焙煎機を使用して、20分以内にコーヒーの焙煎やハンドピックなど全ての作業を終わらせて、150g以上を提出する。」という、ごくごくシンプルな形式で行われます。

選手みんなが同じ条件なので、とても公平性のある大会でした。提出されたコーヒー豆は別室で審査員複数名のカッピングにより審査されます。

もちろんどの選手の焙煎豆かはわからない状態で。

大会一日目は日本代表予選のみが行われ、各グループの1位が大会二日目の日本代表決勝に進み、決勝上位3名が大会三日目の国際大会に出場できます。

負けたら終わりの大会だったので、結果発表の時は少しドキドキしたのを覚えています。

 

大会一日目は全国各地からエントリーされた36名が集まり、4名ごとの9グループに分かれて焙煎を行います。

午前10時頃から始まり17時頃まで焙煎は行われ、私は5グループ目だったので競技が終わってからの時間が長く感じました。

審査発表まであれこれしていると、この大会に出ようと思ったキッカケになる方がいたのでビックリ!話しかけてさらには握手を求めました。

左写真の方で福井県敦賀市新田珈琲の新田さんです。この方は2023年SCAJハンドドリップチャンピオンシップにて優勝された経歴の方です。

年齢が私と近いこともあり、50歳を過ぎたが大会にチャレンジしてみようという勇気をもらいました。

福井県敦賀市に行かれた際は寄ってみてください。

新田珈琲 / 有限会社 新田珈琲| Roasting Lab. SINCE 1940 コーヒー鑑定士、日本チャンピオン、スペシャルティコーヒーの福井県敦賀市のお店(chimoto.com)

新田さんはやさしくとても紳士な方でした。

 

さて初日の課題豆は、グアテマラ オリエンテ地域 ナチュラル精製でした。

審査員からはパイナップルのような風味があると評価されて、とても嬉しかったです。

焙煎に興味のある方が読んでいるかもなので、審査員の審査用紙の一部をあげておきますね。

大会二日目は予選を通過した9名が3グループに分かれて決勝の焙煎を行います。課題豆は、エチオピア イルガチェフェG1 ウォッシュト精製の豆でした。

モカ特有の紅茶のような風味を感じられるコーヒーです。

結果は準優勝。名前を呼ばれたときは、びっくりして椅子から浮いてしまいました。スタッフの方に見られていて恥ずかしかったですw。

審査員からはシトラス、カルダモン、ライム、紅茶など複雑な風味があり、バランスが良いと評価されました。

 

優勝は京都 ABOUT US COFFEE 澤野井さん COFFEE COLLECTION WORLD DISCOVER 優勝の経歴を持つ新進気鋭の若手焙煎士です。

ABOUT US COFFEE(stores.jp)(写真真ん中)

第3位は福井 珈琲豆専門店 和珈屋 小林さん SCAJなど焙煎大会にて多くの受賞歴のある方で、とても気さくな人柄でした。

スペシャルティコーヒー豆専門店 和珈屋 – 珈琲豆専門店 和珈屋 (wakoya.com)(写真右)

大会三日目はいよいよ国際大会決勝。よくここまでこれたなぁと感慨深い気持ちで精一杯焙煎することができました。

しかしながら緊張感も限界になっていたため写真をほとんど撮っておらず・・・。結果は8位入賞。優勝は台湾の方でした。

三日目の唯一の写真はこれでしたw.。竹ノ塚で食べたラーメン屋さん武藤製麵所。ボリュームたっぷりで美味しく頂きました。

 

この焙煎大会を通じて、焙煎のレシピは焙煎士の数だけあるのだと改めて感じました。

コーヒーという液体にしたときにその味わいをどう捉え、変化させたい風味があれば、

それを焙煎のレシピにどう反映させて、また液体にして、焙煎して、液体にして・・・と繰り返しのなかでレシピができ上がっていく。

しかし、繰り返し突き詰める焙煎職人的なことをしているなかで起こる疑問は、「果たしてその求めている味わいは正解なのだろうか」と時に考えたりする。

今回出場した大会などはそうした疑問に答えてくれるように私は思います。

焙煎士としての自分の立ち位置を知りたいという思いからチャレンジしてみて、それ以上の答えが自分には見つかったように感じています。

今大会ではほどよい緊張感を楽しみながら、狙った焙煎レシピを表現できた上での結果なのでとても満足しています。

ずっと昔にバーテンダーの大会に出ていた時もそうですが、たまたまや偶然の結果では次につながることはありません。

 

焙煎の世界でよく出てくる言葉は、「再現性」です。

これからもこの柏市から美味しいコーヒーを届け続けられるように頑張ります。

この記事を書いた人

SOLITO MAGO COFFEE LABO 柏の葉 珈琲研究所

松本
マツモト
克敏
カツトシ
プロフィール

バーテンダー

「カクテルコンペティション受賞歴」

(一社)日本バーテンダー協会主催2000年バーテンダー全国技能競技大会in高知総合準優勝/創作カクテル部門優勝

コーヒー焙煎士 

「コーヒーコンペティション受賞歴」

Fuji Coffee Roasting Conpetition2024 準優勝

豊潤富士カップ国際焙煎大会2024 8位入賞

参考サイト

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