こんにちは、松本克敏です。
柏の葉キャンパスにて「SOLITO MAGO COFFEE LABO柏の葉珈琲研究所」を運営しています。SOLITO MAGO COFFEE LABO 柏の葉珈琲研究所 (thebase.in)
さて、この柏マニアでの寄稿をお願いされ、実は何を書こうか悩んでいました。
何故なら、私はバーテンダーでもあると今でも考えているからです。
今の私があるのは「バーテンダーとしての経験」が全てだからです。
よし、バーテンダーのことから寄稿しよう!と考えていながら、実はこっそりと4月のコーヒー生豆焙煎世界大会に出場してみました。初めて出場する焙煎大会ということもあり、気負うことなく普段通り出てみました。結果は日本大会で準優勝、国際大会で8位という、初めてにしては出来過ぎの結果となりました。
ということで、3回寄稿いたしますが、この「コーヒーの焙煎について」を題材にします。
コーヒーを飲まない人にはつまらない、コーヒーが好きでも物足りない内容になりましたら、すみません。その時はkamonかしわインフォメーションセンターまで感想をお願いいたします。直接本人への感想は、辞退させていただきます。
コーヒーを飲む方で焙煎という言葉は知っていても、実際のところ「?」な人が多いのではないでしょうか。
好きなコーヒー豆か粉を買ってきて家で抽出しています、なんて会話も増えてきているし、最近は家庭でも焙煎できる小型焙煎機が販売されているので、興味がある方はすでに購入して自ら焙煎しているなんて人もチラホラ。
今回は別に焙煎の教本でもないですし、教えることが目的でもなく、柏マニアであれば良いとのご指示により、思ったことを書きます。予めご了承ください。
第一回目の題名は「コーヒーの美味しさの比率 3:6:1」と書きました。
Q.なにが3:6:1?
A.3はコーヒー生豆のポテンシャル
6はコーヒー生豆の焙煎技術
1は焙煎コーヒーの抽出技術
ということで、焙煎技術によりコーヒーの美味しさはほぼ決まっているという話。もちろん異論もあるでしょう。この3:6:1はある書籍で読んで、私も大会に出るまでは「そんなわけあるか!」そう思っていました。大会終わったら「・・・そんなことあった」と思えるようになりました。賞をいただいたからとかではなく、大会に参加した他の焙煎士と話をしながら、ふとそんな気になっていきました。
焙煎についてコーヒーが良く分からない人には、焙煎をお米を炊くことに例えて話したりします。
「美味しいおにぎりを握る達人」とは別に「お米を炊く人」がいます。水分が多すぎて炊かれた米はべちゃべちゃになりますし、炊き上げまでの時間が早ければシンが残ります。そんな失敗したお米では、どんなに達人でも美味しいおにぎりは握れません。
この時に最善の炊き上げを行う技術を求められている人が、コーヒーでいう焙煎士です。
少し話はそれますが、今のコーヒー業界は世界情勢や温暖化など様々な事象が絡みあって、大変なことになっています。ここではもちろんその話題は省きます。しかし、日本人には“美味しいコーヒー”の幅にできるだけ早く気づいてほしいと願っています。そうでなければ、やがて今のコーヒーは飲めなくなるのではないかと危惧しているからです。
Q.美味しいコーヒーってなに?
A.人それぞれ
というのはざっくりですが、最後は人それぞれの味覚により美味しさは決定します。嗜好品だから、です。
と言ってしまっては終わってしまうのでもう少し。今は世界各国から“新鮮な”コーヒー生豆が届いています。
“新鮮な”コーヒー生豆という裏にはそうではない生豆があるということですがこの辺はコーヒー業界の闇なので省きます。新鮮なコーヒー生豆には気候風土(テロワール)からくる様々な個性が眠っています。その個性を生かすも殺すも焙煎技術が握っています。ということは、焙煎士がその個性がわからない、そもそも抽出されたコーヒーの美味しさがわからない、では適切な焙煎などできない。料理やカクテルをつくるのと一緒で、美味しいというストライクゾーンがあるという話です。
さて、話を焙煎に戻す前に、少し自己紹介を。
私はバーテンダーです。21才からオリジナルカクテルを創作し、バーテンダーの大会に幾度となく出場してきました。そして27才の時に日本で最も権威のある日本バーテンダー協会主催の全国大会で創作オリジナルカクテル部門で優勝しました。4部門総合では準優勝でしたが。
その時代に教えていただいた師匠が銀座バーオーパOPA – 銀座・門前仲町にあるオーセンティックバー(bar-opa.jp)店主「大槻健二氏」です。お酒のイロハ、調合、バランス、技術etc…その教えの中で少しずつ“美味しい”を鍛えていただきました。
今私はバーテンダーとして鍛えてきた”美味しい”が生み出す美味しいコーヒーを実現しようと日々頑張っています。そう思い日々磨いてきた焙煎技術が、今回出場したコーヒー焙煎大会にて認められたことがなにより嬉しく感じています。あらためてこの場でも何度でもお礼を申し上げます、大槻健二さんありがとうございました。深煎りながら甘味のあるコーヒーがなにより好きでしたね。天国で僕のコーヒーを飲んでみてください。そしていつかまた会えた時に感想を聞かせてください。あ、かかと落としだけは勘弁してくださいね。
結論
3:6:1
ポテンシャルを持ったコーヒー生豆が産地から遠い日本に運ばれてきました。それは焙煎士のもとに届き、それぞれの焙煎技術で眠っているポテンシャルを引き出される。適正に焙煎されたコーヒーを手にした方は、あとは抽出するのみで、美味しいコーヒーができあがります。その反面、そもそもポテンシャルを引き出していないお粗末な焙煎コーヒーを手にすれば、どんなに抽出技術が素晴らしくても虚しいコーヒーになる。
コーヒーは今、ワイン文化のように、とてつもないポテンシャルを持っています。それを選ぶのはあなた次第。
さていよいよ焙煎大会の話に入りたいと思いますが、それは第2話で。