手賀沼水生生物研究会は、手賀沼で楽しみながら水辺の生きものの保全・復元にかかわり、少しでも「生きものの豊かな手賀沼」を実現するお手伝いをしたい、と考えている団体です。会として発足したのは2007年です。活動は大きく分けては「手賀沼親子自然観察会」、「手賀沼の調査活動」、「勉強会」、「希少種保全活動・四つ池保全活動」の4つ。
「手賀沼親子自然観察会」
2007年から毎年2回、手賀沼に流入する大津川河口付近の用水路で開催しています。
毎回定員に対し10倍もの応募がある人気のイベントですが、最近新型コロナが終わって応募がまた増えてきました。リピーターも増えましたが、自然との触れ合いを求める親子の観察会に対する「需要」の高まりがあります。
「手賀沼の調査活動」
沼の中にも砂地が広がり、歩けるところもある手賀沼。その環境と生きものの現状「今の手賀沼の姿」を、毎年1回調べたことをもとに地域住人の方々と共有するため、調査結果を手水研HP(https://suiken-teganuma.org/)上で公開し、気になる事柄があれば、そのつど専門家を招いて「勉強会」も開催しています。
「希少種保全活動・四つ池保全活動」
我孫子市にあるNEC我孫子事業場内・四つ池では、希少トンボのオオモノサシトンボの保全活動や、関東で絶滅したゼニタナゴの野生復帰事業(系統保存されてきた利根川水系の個体群を用いて)を行っています。四つ池は生物多様性条約の新しい目標を達成するため、環境省が認定している「自然共生サイト」に、昨年、第一陣のひとつとして認定されました。
手賀沼は限りない可能性を秘めています。昔の文人や住人には「野鳥の沼」として愛され認識されてきましたし、手賀沼のウナギは「アオ」と呼ばれ、江戸の町でも極上と珍重されてきました。しかし、東京近郊に位置することもあり、近年観光面でも大いに注目されるようになりました。結果として、いろいろな人が手賀沼をベースに観光ビジネスを立ち上げるようになってきました。
手賀沼周辺の市町村が賑わうのはよいことだと思います。しかし、最近の手賀沼における急激なビジネス振興には、持続可能という点から見ても私たちは懸念を持っています。
都心から近く、都市公園や庭園としてではなく、驚くほど豊かな自然と水辺が残る手賀沼は、観光資源としても非常に大きな価値を持っています。しかしこの「財産」を一気に利用し尽くしてしまっては、もったいない、というより、生物多様性保全の時代に逆行しているのではないかと思います。手賀沼の希少種や普通種が今まで通り暮らせる自然環境を守りながら利用することは非常に大事なことです。どうすればそれができるか。私たちの活動をご紹介しながら、皆様と一緒に考えていければと思います。