フランス人エムリーヌの日本生活2:日本で買い物をする〈前編〉:フランスと日本はそんなに違いがあるの?!

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エムリーヌ
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English version: Experiencing Everyday Life in Japan with Emeline 2: Shopping in Japan Part 1: France and Japan are Really That Different?!

こんにちは!フランス出身のエムリーヌです!

旅行であれ、海外赴任や留学であれ、他の国に行くとだれもが買い物をしますね。でも、国によって買い物の仕方が多少異なるので、びっくりするところがあると思います。私も日本に来たばかりのころ、驚いたことがたくさんありましたから、今日はそれについて話したいと思います。

営業日と営業時間

最初に驚いたのは営業日でした。日本では、たくさんのお店が毎日営業していますが、フランスでは日曜日が基本的に定休日となります。なぜかというと、日曜日は営業が禁止されているからです(最近それは変わりつつありますが。観光地等では日曜日も営業しているところが多いです)。

禁止になった理由は、キリスト教の影響から説明できます。宗教のことがあまり詳しくないのですが、簡単に説明してみます。キリスト教では、イエスキリストが安息日の翌日に復活したことが信じられています。

安息日というのは、ユダヤ教の聖なる日です。神が世界を創造し始めたら、6日間一生懸命働きましたが、7日目は休んだと言われています。そのため、人間も週の7日目は何もしないで休む日となりました。ユダヤ教では、安息日が週の最後の日である土曜日になります。

イエスキリストが日曜日に復活したから、キリスト教では日曜日が安息日のような日になりました。フランスはキリスト教圏の国なので、大勢のフランス人にとって日曜日が教会に行ったり休んだりする日になりました。

4世紀に、ローマ帝国の皇帝であるコンスタンティヌス1世が日曜日を法律的に休日にしました。フランスがローマ帝国に含まれているので、その法律がフランスにも適用されました。

歴史的に、フランスでその法律が取り消されたことがありますが、1906年に日曜日をまた休日とした法律が制定されました。それ以来、日曜日が休める日、スポーツができる日、文化を楽しめる日(美術館等の文化的施設が営業していますから)、家族に会える日等として見られています。

フランスで日曜日に休む習慣が根強くて、政府がそれを変えようとしていても反対する人が多いです。それなのに、日曜日に営業するところが増えています。前はクリスマスの時期だけにほとんどどこでも開いていましたが、最近、他の時期でも開いているところが増えてきました。

説明が少し長くなりましたが、これがフランスの文化の重要なところだと思います。だから日本では日曜日も営業日であるのは、いい意味で大きいショックでした。他の日が忙しくても日曜日に普通に買い物をしに行けるし、宅配便も届くし、なんて便利なことだと思いました!

でも、それだけでなく、夜遅くまで、または24時間営業しているところもあります!フランスで0時以降営業するのは基本的に禁止されていますから(バー、クラブ、カフェやレストラン等を除き)、それもびっくりしました。日本では、スーパーなどが真夜中に閉まっていても、コンビニには行けるから楽だと思います。

お店に入ると...

初めて旅行で日本に来た時、家族と一緒に来ました。家族は日本のことがそれほど詳しくないのですが、いろいろな名所に行ったり、日本食をたくさん食べてみたりして、旅行をとても楽しんでいるようでした。毎日、ホテルに帰って、「今日どうだった?」と聞いたら、いいところ、面白いところ、変だと感じたところを振り返って、いつも楽しそうに答えてくれていました。買い物をたくさんした日にも、同じような質問をしたら、妹がこんな風に答えました。

「いろいろかわいいものを買えてとてもよかったけど…何で店に入ると店員さんが大きな声で叫んでくるの?びっくりした!」

やっぱりそれは私もびっくりしました。お客さんが店に入ると店員さんが「いらっしゃいませ!」と挨拶をすることは知っていましたが、そんな勢いで言っていると思いませんでした。それは「うちの店へようこそ!」のような意味を持っていることを説明しましたが、妹が笑って「それはちょっと激しい “ようこそ”じゃない?」と答えました。

フランスでは確かに挨拶の仕方が違います。店に入ると店員さんが「こんにちは」、「ようこそ」と挨拶してくれるのですが、あまり大声を出さない気がします。お客さんが挨拶を返すべきだから、店員さんが叫ぶのではなくて、会話っぽい口調で挨拶をすると思います。


フランスでは、店員さんに挨拶をしないと失礼です。店に入ると「Bonjour」(こんにちは)、出る時は「Merci」(ありがとうございました)「Au revoir」(グッドバイ)「Bonne journée à vous aussi」(店員さんもいい一日を過ごしてください)のような挨拶をするのが普通です。

フランスに旅行した日本人の友達としゃべったら、「フランスの店員さんがちょっと失礼だったな」という意見がありましたが、自分からそのような挨拶をしないと「なんて失礼なお客さん」として見られてしまって、店員さんの態度が冷たくなっただけだと思います。いつかフランスに行く機会があったら、挨拶を忘れないでください!

日本では、店に入るとお客さんが別に何も言わなくてもいいと知っていますが、最初は本当にびっくりしました。実は、今でもそれに慣れていなくて、店員さんに挨拶されたら、つい何か言いたくなります。

お支払方法

支払方法のことも少しびっくりしました。日本では現金がまだよく使われています。クレジットカードで払えないところがまだあるので、あまりカードに頼らないほうがいいと思います。

フランスでは逆です。18歳以上の人が(フランスでは成年が18歳ですから)ほとんどだれでもクレジットカードを持っていて、そればかりを使う人も多いと思います。そもそも、クレジットカードをもらうのは簡単です。銀行に行って、フォームを記入したら審査を受けずにもらえると思います(私の場合はそうでした)。私も18歳になった時、まだ学生で収入がなかったのに、すぐにクレジットカードをもらいました。それ以来、現金をほとんど使わなくなりました。だから、日本に来て現金の使用に戻るのが大変でした。

カードが使えるところももちろんあるのですが、これもフランスと少し違いました。例えば、カードを入れるだけで、暗証番号を入力せずに支払いができることがあります。フランスでよく使われているコンタクトレス(クレジットカード処理端末機をカードでタッチするだけで支払いができること)とあまり変わらないのですが、やっぱり最初は驚きました。

他にびっくりしたのは、クレジットカードで支払う際に、サインが必要な場合もあることです。フランスで、いつもクレジットカードで払っていましたが、一回もサインをする必要がありませんでした。アメリカ人の友達に聞いたら、アメリカではサインするのは普通だから、フランスだけが特殊かもしれません。

最近、日本ではキャッシュレス化が進んでいるのですが、普通のクレジットカードより電子マネーのほうがよく使われている気がします。フランスでは電子マネーがまだそれほど使われていませんから、私にとって少し不思議なことです。

レジ袋はご利用ですか?

驚いたことをいくつか挙げてみましたが、一番驚いたのはレジ袋が無料でもらえたことだと思います。日本に来たのは2019年9月だから、プラスチック製のレジ袋がまだ無料のころでした。2020年7月から有料になって、1枚が2~5円くらいで販売されることになりました。

フランスでは、プラスチック製のレジ袋がずいぶん前からなくなりました。2016年7月からレジ袋が禁止になり、2017年1月から生分解性プラスチック以外で作られたビニール袋が青果売り場等で禁止になりました。でも、その前からもレジ袋を使わなくなった人が多かった気がします。両親も約10年前からエコバッグを使い始めて、レジ袋を使わなくなりました。

地球温暖化や海洋汚染のような環境問題が世界中で注目されているので、他の国でもプラスチック製の袋がすでになくなったと思っていましたから、日本に来た時レジ袋がまだあるばかりでなく、無料で手に入ることはとてもびっくりしました。それ以来、レジ袋が有料になってとてもいいことだと思いますが、これからもプラスチックの使用削減がもっと進むと望んでいます。

日本に来てから、日本についていろいろ学びましたが、母国についてもいろいろ気づきました。海外に行って自分の文化や習慣について学ぶのは不思議かもしれませんが、異文化に触れないと気づけないことが意外と多いです。今回はそれを生かして、この記事を書きました。

他に驚いたことがたくさんありましたが、それは日本のおもてなしを初めて体験して驚いたことです。次の記事では、海外ではなかなかない概念である「おもてなし」を紹介しながら、その驚いたことについて書こうと思います!ぜひ、それも読んでみてください!

後編: ↓ ↓
フランス人エムリーヌの日本生活2:日本で買い物をする〈後編〉:日本の「おもてなし」


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プロフィール

フランス出身のエムリーヌです。覚えにくい名前なので、エムちゃんとよく呼ばれています。

2019年9月に、修士論文の研究をしに交換留学で日本に来ました。慶應義塾大学の三田キャンパスに通っていましたが、最初から柏に住んでいます。地元が割と小さい町で、東京より柏のような町のほうが心地よさそうでしたから。まだ柏のことがそれほど詳しくないのですが、kamonでアルバイトを始めてから、毎日柏について新しいことを学んで、柏のことがだんだん好きになっています!

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