「柏でアート?」「なんか、イメージできないなぁ。。。」「若者と音楽の街 柏、でしょ?」
2006年アートラインかしわがスタートした頃、よく耳にした言葉です。
当時、柏駅東口ダブルデッキにはストリートミュージシャンが集まり、「東の渋谷」のキャッチコピーが定着、更には古着を中心とした独自ファッション「ウラカシ」の芽が
出始めた頃。若者文化で柏の街は大賑わいでした。「芸術」にはスノッブなイメージさえありました。
一方で、いつまでもこの賑わいが続くのか。
街のハード面の更新期をも迎えていた柏駅周辺のまちづくり関係者は、少子高齢化の今後を見据え、次なるイメージ戦略を考えていたのです。
そこで着目したのが「アート」!
柏は元々江戸幕府の放牧場だった小金牧に、鉄道が出来たことによって生まれた歴史的に見れば新しい街です。
城下町のような判りやすい文化芸術も無く、伝統的なお祭りもなく、美術館もない。「柏には文化が無い」なんて言われたことも。
考えてみれば人が住むところ文化あり。しかも、常磐線の始発駅上野には東京藝術大学があり、沿線の北千住、取手にも藝大のキャンパスがあり、柏に遊びに来る藝大生や柏に住むアーティストは結構いるのです。
アートは年齢に関係無く楽しめるもの。また、アートの自由な発想は新しい関係性を生み出す力をも持っており、次のまちづくりのキーワードにふさわしいのでは、文化が無いというのなら創っちゃおう!ということになったのです。
こうして、特別なアート教育を受けた訳ではないアートファンや街の人がアーティストに働きかけるという、通常の芸術祭とは逆の形でアートラインかしわがスタート、今に至っています。
元々ストリートイベントが盛んだった柏。日常の中でアートに「出くわす」ことは案外受け入れやすい下地がありました。
街なかでのちょっと変わったパフォーマンスに出くわした高校生の「何、これ?」「こんな変なことやってるのって、アートラインじゃない?」という会話を耳にしたときには、まさに我が意を得たり!!でした。
反面、アートは必ずしも心地良いものばかりとは限らず、「一体何を始めるの?」と警戒感を持たれたり、街なかで展示、パフォーマンスをするのは、それなりに大変なことでした。
それでも、運営メンバーは柏に住む人たち、柏で学ぶ人たち、柏で働く人たちです。
ビジネスや他人事ではなく自分事としてお願いに廻り、理解を得るために動き考える。その熱量で徐々に街を巻き込み、理解を得ていったように思います。(まさに柏マニア!!)2015年からは開隆堂出版の中学校美術副読本『表現と鑑賞』にも記載されています。
街なかでの公開制作では、高校生が一人足を止めてじっと見ていたり、街の人が気軽に声を掛けてくれたり。
商業施設での設営・撤収は、営業終了後となるので徹夜作業となりますが、アーティストと一緒に制作の現場に関われるワクワク感はスタッフならではの醍醐味です。
2022年「ふわり~かろやかに~」設営風景はこちら
私たちの活動はボランティア。「出来るときに、出来る人が」がモットーです。
今年の秋もアートを切り口に、「こんな柏も良いよね」と、いつもと違った街の風景をお楽しみ下さい。
アートラインかしわ 事務局長 亀岡浩美