柏の生き物3:柏市のカエル

柏マニアNo.
13
小川
オガワ
幸夫
ユキオ

ファーム小川

プロフィール詳細

こんにちは、小川と申します。

柏市で農業をしています。

暑い夏も終わり、秋の季節になってきました。


畑ではたくさんのシオカラトンボが集まって産卵してします。

産卵している場所はじつは水の中にではなく、なんとビニールの上になんです。野菜を植えたりするために張る黒いビニールマルチを水と勘違いして産卵してしまうのです。

おそらく光の反射が水面と同じで、水と勘違いしているのでしょう。野菜の定植後に防虫ネットを張るので、その後は産卵できなくなるのですが。


さて同じように水を必要とする生き物にカエルがいます。柏市にはまだ様々なカエルが生きています。

種類としてはお馴染みのニホンアマガエルとアズマヒキガエル、ニホンアカガエル、またトウキョウダルマやシュレーゲル、そして外来種のウシガエル、さらにここ数年で柏市に増えてるヌマガエルなんてのもいます。
カエルというと水が必要なイメージがあります。しかしさきほどのトンボと同様に水は産卵の時に必要なものです。

オタマジャクシからカエルに変態すると必ずしも水があるところで生活するわけではありません。特にヒキガエルはカエルになると水場から離れ、様々な場所であまり動かずに目の前に現れるごちそうの生き物をじっと待つ生活をしています。
ヒキガエルは排水対策の進んだ乾燥した柏の街中でも生きていけるので、庭や畑にいてびっくりなんて人も多いでしょうね。

アズマヒキガエル


一方、アカガエルの仲間のニホンアカガエルやトウキョウダルマ、そしてウシガエルはやはり水に近いところに棲んでます。ただエサを採るのに水辺からは離れて生活もします。またアオガエルのニホンアマガエルやシュレーゲルは小型で腕力が強く、人工物や樹上でエサを待ち構えます。
このようにそれぞれのカエルがエサや待ち受け場所を変えることでうまく棲み分けできてるのがまた面白いところですね。
今年は雨が多くカエルは過ごしやすい日が続いたと思われます。暑い夏でも水気があるとカエルは自分の体温を下げることができますからね。

二ホンアカガエル


ところで雨が多くて私が心配だったのは道路でカエルが轢かれて死んでしまう『ロードキル』です。悪い予想通り、この夏はうちの畑横の道路ではたくさんのカエルが轢かれて死んでしまいました。
カエルの『ロードキル』が起きるのは、久しぶりに雨が夕方に降り始める時。産卵期でない今時期の犠牲は食べ物を求めて移動する小さなカエルが多いです。もっとも多いのはカエルの産卵期で2月がニホンアカガエル、3月がアズマヒキガエル、4月以降にそれ以外と覚えてもらいたいです。
夕方に雨が降り始めたという夜は、安全運転のためにもぜひ車のスピードを落としてください。そして路上に何かいないか気をつけてほしいです。
6〜7月の川の近辺ではやはり同じように産卵のために移動する亀の轢かれた死骸をよく目にします。産卵時期は生き物は危険を顧みずに道路を横断してしまうのですね。
柏市にはまだたくさんのカエルが生きていますが、カエルの鳴き声が年々減ってきています。ロードキルも原因の1つですが、たくさんの原因が他にもあります。
U字溝などの側溝に落ちて這い上がれずに死ぬカエルや、そもそものエサとなる虫たちの減少、田んぼの乾田化などカエルにはつらい環境にばかりなってます。
カエルは色々な生き物を食べますが、カエル自身も様々な生き物の食べられる貴重な食糧です。カエルを守ることは他の生き物を守ることでもあります。


この先もずっとカエルの鳴き声が聞ける街であってほしいですね。
そういえばちょっとまえに立ち寄った柏の葉キャンパス駅近く。綺麗な都市化された柏の葉キャンパス駅前ですが、カエルの鳴き声が聞こえてきて思わず微笑んでしまいました。

二ホンアカガエルの赤ちゃん


この記事を書いた人

慶応大学 環境経済・農業経済

ファーム小川

小川
オガワ
幸夫
ユキオ
プロフィール

南増尾の農家「ファーム小川」代表。

慶應大学経済学部卒業後、農業機械メーカーを経て就農。

野菜と生き物の共生を追求した農業を展開し、完全無農薬栽培を実践。約1.5haの畑で100品目500品種の野菜と果樹を栽培し、市内の直売所やマルシェなどで販売をしている。

農業界の“ムシキング"と呼ばれるほど昆虫を愛し、日本ミツバチの保護にも取り組む。

2018年には著書『農薬に頼らずつくる 虫といっしょに家庭菜園』を発売。

参考サイト

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