柄シャツ男のこだわる理由 その5:映画マニアが柏マニアになるなんて

柏マニアNo.
18
江﨑
エザキ
タケシ
プロフィール詳細

前回ご紹介しました、映画人たちが柏市で自主製作した長編劇映画『長全寺』の劇場初公開は、12/24(土)からスタートいたしました。

初日は、上映後の舞台挨拶とサイン会を行ない、約100名のお客様にご来場いただき、大盛況でした。映画のストーリーやクライマックスの音響に加えて、柏市の地域密着映画を柏市内の映画館で柏市民の皆様と一緒に観るという臨場感と一体感が好評でした。

柏市をはじめとする東葛地区在住の皆様だけでなく、広く常磐線沿線や東京都内からご観賞に来られるお客様も多く、当初3週間の上映予定でしたが、5週間の上映に延長されました。

観賞後に聖地巡礼として、長全寺を参られる方も多く、館内配布のロケ地MAPも人気でした。

 

長全寺

 

続く地域密着型の上映作品は、1/28(土)~2/17(金)の日程で、<柏市「ふるさと交流都市」記念上映>として、ドキュメンタリー映画『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』を上映いたします。

 

柏市の「ふるさと交流都市」である福島県只見町を運行するJR東日本の只見線。

全国紙の「紅葉の美しい鉄道路線ベストテン」で第1位に選ばれたこともあるなど、全国屈指の秘境路線として鉄道ファンに人気の路線です。

2011年7月の豪雨被害で一部不通となった只見線の運転再開までを毎日撮影してインターネットで公開し続け、全国や国外からも多くの観光客を集めるなどの活動を30年に渡り続けてきた郷土写真家・星賢孝(ほし・けんこう)を追ったドキュメンタリーです。監督は、東日本大震災以降、福島県に移住し、様々なドキュメンタリー映画を撮り続けている安孫子 亘(あびこ・わたる)監督です。

 

今回のキネマ旬報シアターでの上映は、柏市と福島県只見町の「ふるさと交流都市」の取り組みを広く知っていただくための企画でもあり、柏市のミニシアター映画館としての、上映を通じた地域活性化の活動の一環でもあります。

 

昨年2022年10月に只見線が全線開通し、今年2/11(土)・12(日)に3年ぶりに「只見町ふるさとの雪まつり」が再開されるタイミングで、本映画の上映を通じて、柏市の「ふるさと交流都市」である只見町や只見線に関心を持っていただければ幸いです。

 

柏市と福島県只見町は、1981年から交流があり、1994年に「ふるさと交流都市」を締結して、約30年にわたり、毎年2月の「只見町ふるさとの雪まつり」への柏市からの約40名のツアー、只見高校への毎年の山村留学(地域みらい留学)制度、2022年春の甲子園21世紀枠で出場の只見高校への支援活動など、様々な交流を行なってきました。

 

『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』の上映時には、上映ロビーにて「ふるさと交流都市」の取り組みの一部資料なども展示いたします。

この作品の上映に際して、柏市市民活動支援課、柏市ふるさと交流協会、只見写真愛好会、只見町ふるさと大使、千葉日報柏支局、読売新聞柏支局、パレット柏、kamonかしわインフォメーションセンターの皆様にお世話になりました。ありがとうございました。

 

ぜひスクリーンでご観賞ください。

 

 

 

今回で、私の柏マニアでの連載は最終回となります。

渋谷のミニシアターの最後の支配人から転じて柏に参りましたが、まさか自分が”柏マニア”の仲間入りをする日が来るなんて、思ってもみませんでした。

この連載では、コロナ禍以降の、柏のミニシアター映画館としての取り組みを紹介して参りました。

 

コロナ禍以降、全国のミニシアター映画館は、厳しい状況が続いております。シネマコンプレックスはアニメーションを中心に大ヒット作が続いておりますが、ミニシアター映画館の平日の午前やお昼を支えていただいているシニア層のお客様は、出控えや動画配信サービスへの移行があり、ミニシアター映画館の動員数は減り、コロナ前の水準に戻っておりません。岩波ホールをはじめ、全国で閉館も相次いでいます。

 

そこで、現在、全国の各ミニシアター映画館は、新しいお客様を開拓する試みを行っております。

当館では、この連載で紹介させていただきましたように、大きく2つの取り組みを行ないました。

 

一つ目は、映画人の45分のトークイベント&サイン会をはじめとする東京都内など遠くからの映画ファンに集まっていただく上映企画です。

この1年間で88回のトークイベントを行ないました。

 

現在、トークイベントは諸事情により、少なくなっておりますが、”音感上映”や”無発声応援上映”など映画館ならではの体験ができる上映で、インド映画『RRR』『バーフバリ』シリーズ、アニメーション映画『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』『犬王』などの作品で、首都圏全体から多くのお客様が観賞にご来場され、ロングラン上映いたしました。

 

『RRR』と『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』は、現在もロングラン上映中です。

 

二つ目は、柏市をはじめ、東葛地区に関連する地域密着型上映の企画です。

 

流山市出身の人気ジャズ・トランペッターの曽根麻央さんが主演の短編映画『トランペット』の1週間連続トーク&演奏つき上映、

松戸の沖縄とつながろう会様をはじめ首都圏の沖縄県人会の皆様に御協力をいただいた<復帰50周年 沖縄特集>、

「北柏楽しいことやっちゃおうプロジェクト」との『マジックツリーハウス』森の上映会、

船橋市出身のアクション俳優のHAYATEさん(真青ハヤテさん)が企画・総監督・主演を務め、松戸市出身で「脳卒中フェスティバル」代表の小林純也さんが共同企画した映画『ファーストミッション』、

<カシワカレークエスト2022>のスタンプラリーと連動した映画『カレーライスを一から作る』上映、

そして『長全寺』『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』。

 

宣伝に御協力いただく皆様も、お客様も、通常の映画の興行とは異なる、柏市はじめ東葛地区の皆様との様々な出会いがあり、映画館や映画のお客様を少しずつ増やしていく活動となりました。少しでも地域の活性化につながれば、幸いです。

 

柏のお客様は、トークイベントでも、渋谷よりも積極的に素朴な質問や感想を次々述べられるなど、好奇心にあふれ、映画を愛する方が多い街と感じました。

朝からキネマ旬報シアターに並ぶ映画ファン

 

ありがとうございました。

 

ぜひ、キネマ旬報シアターで映画をご観賞ください。

この記事を書いた人

江﨑
エザキ
タケシ
プロフィール

元キネマ旬報シアター 副支配人・劇場運営 兼 番組編成担当(2023年2月末で退任)

 1980年代から「月刊シティロード」「週刊東京ウォーカー」などの雑誌編集者の映画担当デスク、2000年代は映画情報ポータルサイト「ムービーウォーカー」の立上げから約7年間編集長や全国映画館上映スケジュール取材センター「ムービータイム(現・角川アップリンク)」の立上げ・運営などを経て、渋谷のミニシアター映画館「アップリンク渋谷」の支配人に。 

コロナ禍により2021年5月の閉館後、2021年8月頃から柏・キネマ旬報シアターで、番組編成と劇場運営を行なっていました。

古今東西のすばらしい映画とお客様との出会いをお手伝いすることが、人生の使命です。

 

★2021年9月~2023年2月
キネマ旬報シアター 映画監督45分ティーチイン登壇者一覧(企画・運営・司会:江崎)
※コロナ第5波の緊急事態宣言の解除にともない、本格的に毎週土日の映画監督45分ティーチインを開始


※敬称略

2021.9.22
『由宇子の天秤』瀧内公美(本作品1回目)

2021.10.16
『その日、カレーができるまで』清水康彦監督

2021.10.23
『由宇子の天秤』『かぞくへ』春本雄二郎監督(本作品1回目)、梅田誠弘

2021.10.30
『由宇子の天秤』『火口のふたり』瀧内公美(本作品2回目)

2021.10.31
『東京自転車節』青柳拓監督

2021.11.4
『空白』二階堂新太郎(サプライズ舞台挨拶)

2021.11.7
『ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。』島田陽磨監督

2021.11.13(追加11.20)
『のさりの島』山本起也監督

2021.11.21
『生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事』佐古忠彦監督

2021.11.23
『うみべの女の子』ウエダアツシ監督、青木柚

2021.11.28
『くじらびと』石川梵監督

2021.12.4
『ゆきゆきて、神軍』(35mmフィルム上映)原一男監督

2021.12.5
『スズさん 昭和の家事と家族の物語』大墻敦監督

2021.12.11
『石巻市立湊小学校避難所』藤川佳三監督

2021.12.25&26
『水俣曼荼羅』原一男監督(2日連続)

2022.1.8
『いとみち』横浜聡子監督、駒井蓮

2022.1.15
『ひらいて』首藤凜監督

2022.1.22
『JOINT』小島央大監督、山本一賢、キム・ジンチョル、櫻木綾

2022.1.23
『三度目の、正直』野原位監督、川村りら、出村弘美

2022.1.29
『香川1区』大島新監督

2022.1.30
『由宇子の天秤』春本雄二郎監督(本作品2回目)

2022.2.12
『水俣曼荼羅』原一男監督(本作品3回目)

2022.2.12~13&15~18(6日間)
『Trumpet トランペット』曽根麻央(本作品1回目~6回目)

2022.2.19
<香港特集>
『香港画』堀井威久麿監督、前田穗高(プロデューサー)

2022.2.20
『寛解の連続』光永惇監督、小林勝行(リモート参加)

2022.2.26
『歩きはじめる言葉たち 漂流ポスト3.11をたずねて』野村展代監督、升毅

2022.2.26
<キネマ旬報ベスト・テン名作特集>
『本気のしるし《TVドラマ再編集劇場版》』深田晃司監督(リモート参加)

2022.3.5
『梅切らぬバカ』和島香太郎監督2022.3.12
『華のスミカ』林隆太監督、直井佑樹(プロデューサー)

2022.3.13
『ベイビーわるきゅーれ』阪元裕吾監督、伊澤彩織、三元雅芸

2022.3.26
『二重のまち/交代地のうたを編む』小森はるか監督

2022.4.2
『なん・なんだ』山嵜晋平監督、下元史朗

2022.4.9
『前科者』岸善幸監督

2022.4.16
<大江崇允、映画の術>
『美しい術』『かくれんぼ』大江崇允監督

2022.4.17
『牛久』トーマス・アッシュ監督

2022.4.23

<「キャプテン」原作漫画連載50周年記念企画>

『キャプテン劇場版』千葉一郎(ちばあきおプロダクション社長)、谷口忠男(元集英社編集長)

※運営のみ担当

2022.4.29
<濱口竜介監督作品全15本上映>
『親密さ』平野鈴

2022.5.5
<濱口竜介監督作品全15本上映>
『ハッピーアワー』砂連尾理(劇中ワークショップ指導)

2022.5.7
<復帰50周年 沖縄特集>
『ミラクルシティコザ』平一紘監督、玉代勢圭司

2022.5.8
『春原さんのうた』杉田協士監督、荒木知佳、新部聖子

2022.5.14
『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督

2022.5.15
<復帰50周年 沖縄特集>
『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』柳川強監督、中島歩

2022.5.21(追加5.23、5.25)
<復帰50周年 沖縄特集>
『ばちらぬん』東盛あいか監督

2022.5.22
『夢幻紳士 人形地獄』海上ミサコ監督

2022.5.22
<キネマ旬報シアター・インディーズ>
『ふゆうするさかいめ』住本尚子監督、カワシママリノ、鈴木美乃里

2022.5.29
『杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦』前田せつ子監督

2022.6.4
『ぼけますから、よろしくお願いします。おかえり お母さん』信友直子監督

2022.6.5
<キネマ旬報ベスト・テン名作特集>
『サウダーヂ』富田克也 監督

2022.6.11
『教育と愛国』斉加尚代監督

2022.6.12
『ウェディング・ハイ』大九明子監督

2022.6.12
<ウクライナ特集>
『ドンバス』小泉悠(東京大学先端科学技術研究センター専任講師)

2022.6.18
<復帰50周年 沖縄特集>
『緑の牢獄』黄インイク監督

2022.6.19
<ザ・ビートルズ デビュー60周年記念上映>
『ハード・デイズ・ナイト』藤本国彦(ビートルズ研究家)

2022.6.25
『ツユクサ』平山秀幸監督

2022.6.26
『マイスモールランド』川和田恵真監督

2022.6.26
<追悼 青山真治監督 北九州サーガ三部作 35mmフィルム特集>
『サッドヴァケイション』(35mmフィルム上映)斉藤陽一郎

2022.7.2
『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』中村裕監督

2022.7.3
<キネマ旬報ベスト・テン名作特集>
『喜劇 愛妻物語』足立紳監督、足立晃子

2022.7.9
『私のはなし 部落のはなし』満若勇咲監督

2022.7.10
<キネマ旬報ベスト・テン名作特集>
『あゝ荒野 前篇』『あゝ荒野 後篇』岸善幸監督

2022.7.16
<学校ドキュメンタリー特集>
『屋根の上に吹く風は』浅田さかえ監督

2022.7.17
<追悼・石井隆><相米慎二特集>
『ラブホテル』(35mmフィルム上映) 松居大悟監督

2022.7.18
<城定秀夫×今泉力哉「L/R15」特集>
『愛なのに』城定秀夫監督

2022.7.18
<城定秀夫×今泉力哉「L/R15」特集>
『猫は逃げた』城定秀夫(脚本)、山本奈衣瑠、手島実優

2022.7.23
『流浪の月』李相日監督

2022.7.24
『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』金子遊監督、伊藤雄馬(言語学者)

2022.7.24
<学校ドキュメンタリー特集>
『夢みる小学校』オオタヴィン監督

2022.7.30
『高津川』錦織良成監督、戸田菜穂、大野いと

2022.7.31
<キネマ旬報シアター・インディーズ>
『僕の一番好きだった人』上村奈帆監督、平野鈴(本作品1回目)

2022.8.4
『死刑にいたる病』白石和彌監督

2022.8.13&14
<戦後77年 戦争映画特集><夏の神軍まつり>
<キネマ旬報ベスト・テン名作特集>
『ゆきゆきて、神軍』(35mmフィルム上映) 原一男監督(2日連続)

2022.8.20
『スープとイデオロギー』ヤン ヨンヒ監督、荒井カオル(プロデューサー)

2022.9.1
『PLAN75』早川千絵監督

2022.9.17
『島守の塔』五十嵐匠監督

2022.9.24
『劇場版 荒野に希望の灯をともす』谷津賢二監督

2022.10.1
『こちらあみ子』森井勇佑監督、大沢一菜、大関修士

2022.10.8
<キネマ旬報シアター・インディーズ>
『僕の一番好きだった人』上村奈帆監督、平野鈴(本作品2回目)

2022.11.6
『LOVE LIFE』深田晃司監督

2023.12.3
<カシワカレークエスト2022関連上映>
『カレーライスを一から作る』前田亜紀監督、大島新(プロデューサー)

2023.12.24
『長全寺』川本淳市監督、江良至(脚本)、川原英之、武田泰道(長全寺住職)

2023.2.4
『あした、授業参観いくから。』『幸福のスイッチ』安田真奈監督

2023.2.5
<『あちらにいる鬼』公開記念上映>
『全身小説家』原一男監督

2023.2.23
『ケイコ 目を澄ませて』三宅唱監督

2023.2.26
『夜明けまでバス停で』高橋伴明監督、梶原阿貴(脚本)

 

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