一年前のこの時期は、色んな意味で転機でした。運転免許を取得して地元のドライブを楽しんだり、在宅に慣れて水出しコーヒーの味を占めたり、最初で最後(にしたい)のニート生活でRPGの面白さを噛み締めたり、オンライン英会話には向いてないことを実感したり、内定先の業務をかじり始めたり、個人的で些末な、価値観のアップデートが起こっていました。
そして、このアップデートという感覚が堪らなかったのでしょう。3年生まで部活にしろ就活にしろ、受動的だった生活が、自分で情報を集めて、好きを見つけることで彩られるようになりました。そうして、後々の活動に発展していったわけです。
といっても、何よりの転機は、『東大折紙』の作業が本格化したことです。自分のやりたいことを定め、対外的な形にするために工夫し、部内外の折衝などを通して、自ら発信できる意義を知りました。そして本が完成すると、プロダクトを手にする喜びと、プロダクトを持っていることの強さを実感しました。
近日2つの商品化を達成した背景には、そうした思いがあります。今回は、そのプロダクトのご紹介を通して、私がやりたいことをお伝えしたいと思います。その前にまず「展開図」のインプットです。
「展開図」とは、言ってしまえば完成形を広げたものです。多くの場合は、複雑な仕上げを含まない、基本構造までの折筋が示されています。モンハナシャコで言えば、上記の展開図から、完成形までに数倍の線が入ることになります。
2つのプロダクトも、まさにこの展開図がテーマなのですが、私が折紙を打ち出す時に、展開図を推しているのには、理由があります。一つは、この幾何学的なプロセスから、教材としての折紙、という認識を持ってもらいたいため。もう一つは、このような複雑なプロセスがあるということから、折紙は幼稚な遊びであるという、社会的な認知を覆したいためです。
ここで、プロダクトの紹介に移ります。1つ目は、ORIGAMI -東大折紙- です。書籍『東大折紙』より作品を抜粋し、その展開図をデザインしたものです。かなりの難易度なのですが、折筋がプリントされていることで、立体的で高難度の工程もクリアできるようになっています。
こちらは、MEETS TAKEGAMIさんのシリーズとして商品化しました。そもそも、私が折紙の講習会などをできるようになったのは、こちらのプロダクトと出逢ったからです。日本の竹を活用して、竹害という環境問題にアプローチする素敵なデザインに、一目惚れしました。
https://meets-takegami.stores.jp/
2つ目のプロダクトも、竹紙で製作しています。この模様は、皆さんご存知、鶴の展開図となります。これは朝活で、ビラを使って講習しているときに思いつきました。『東大折紙』の「象」と、『折り紙王子』こと有澤悠河さんの「エンゼルフィッシュ」が、ちょうどいい難しさで、鶴の展開図が活きることから、展開図の普及に役立つ商品になると考え、クラウドファンディングに踏み切りました。こうして完成に漕ぎ着けられて、支援者の方々には大変感謝しております。
展開図おりがみは、現在二つの実店舗・オンラインショップでお取り扱いいただいています。1つ目は、日本折紙協会さんです。こちらの実店舗でもある、墨田区の東京おりがみミュージアムは、実は私の折紙創作のきっかけでもあります。今回のお取り扱いで、原点回帰したようで、大変感慨深いです。
https://origami-noa.shop/?all_items=true
2つ目は、せんぱくBookbaseさんです。おとなり松戸の八柱の書店さんで、コンセプトが素敵な場所です。オンラインでは一部の商品を扱っているそうで、是非実際に行ってみてほしいですね。また、こちらの店主の絵ノ本さんが、6/24~27に朝活をするそうで、そちらもとても楽しみです。
https://bookbase1089.stores.jp/
と、ほとんど宣伝のようになってしまいましたが、改めて私がやりたいことはと言うと、折紙で社会を良くすることです。それは、社会貢献がしたいなどと大層なことではなく、私が好きなことの、隠された意義が広まって、それが届いた人にいい影響があれば良いと思っています。また、そのような切り口を通して、私の活動や知見が広がることが、何より楽しいです。このプロダクトは、そのための刀となるものです。